第218章 再戦
そのヘラヘラと卑しい笑いを零しながらナナのことを話すのが、勘に障った。俺はそいつの首を掴んで、壁に押し付けた。
「―――――ぐっ?!?!」
「――――黙れ。ナナは簡単に死を選ぶような女じゃねぇ。」
「ひっ……、は、い……、ごめんな、さい……。」
首をギリギリと締めた後、その首を解放すると男はそのまま壁にへたり込んだ。
そうだ。
俺が脅した時も……、強さを見せた。
例え誰に何をされてようと、あいつは汚れない。
――――ただ、これから始まる戦争に巻き込みたくなかったのに。つくづくナナは、思い通りに動いちゃくれない。まぁきっと……ナナにとって俺も……同じようなもんだろう。
そう思うと、僅かに笑みが零れる。
その笑みをしまい込んで、俺はあのガキを拘束している地下牢に向かった。
地下牢の鍵をさっきの兵士が開ける。
扉を開くと、牢屋の隅で膝を抱えてガキはガキらしく縮こまっていた。だがお俺の顔を見た瞬間に顔を上げた。その表情は畏怖そのものだ。
「よぉ、サシャを殺したガキ。」
「な……?!何の用?!」
「ファルコを助けたかったら協力しろ。」
「協…力?!何を……?!」
「無線で助けを呼んでもらう。壁内の侵入者が反応を示すようにな。」
「……あ。」
その一瞬、ガキの視線が俺を通り過ぎて扉の方へ向けられて、僅かな希望を灯したような目をした。
その瞬間、ドン!と俺の隣で大きな音がしたと思えば……さっきの兵士が、後ろから続いて入って来た女の兵士にナイフで喉を一突きにされてずるりとその場に崩れ落ちた。
そしてその手に持った銃を俺に突き付けた。