第217章 傷痍
「……ハンジさん………。」
「リヴァイはきっと目を覚ますよ。ナナを置いてなんか、いかないよこいつは。」
「………はい………っ……!」
しばらくしてナナはようやく少し気持ちを整理できたのか、リヴァイの手をそっと放した。
「――――さてナナ……これは……これから……どうしたもんだろう。私たちじゃジークを止められないだろうし……アルミンやピクシス司令に託すしか……。」
「――――エレンは、きっと……いえ、絶対に……!ジークの作戦に全て加担するつもりでは、ないはずです……。」
「――――だとしても、だ。イェーガー派が脊髄液でこの島を支配するなら、私たちは一生この島のお尋ね者。」
脳裏に思い起こされるのは………
サネスが残した『頑張れよ、ハンジ。』あの言葉だ。
正しいと思うことを信じてやってきた。
――――だがそれも……時代が変われば……罪人だ。
――――あぁもう、考えても考えても妙案なんて浮かばない。何をどうしたって犠牲が出る。
それが嫌で考えているのに。
考えれば考えるほど……苦しくて……もういっそ、この役から降りてしまいたいと思う。