第217章 傷痍
「エレンはお前を介してジークの思い通りに動き、マーレを襲撃させ、ここエルディア国の住民の支持を得て、脊髄液入りのワインで兵団を支配しちまったんだからな。」
ジャンの冷静な怒りの言葉を聞くイェレナの顔は、肯定とも否定ともとれないものだった。
「これでお前達はエルディア国と始祖の力を手に入れ、マーレを滅ぼして祖国の復讐を果たす。これが義勇兵がこの島に来た本当の目的だったんだろ?」
ジャンの追及に対して、イェレナは小さく頭を下げた。
「信じてください。我々の真の目的はマーレへの復讐なんぞ空虚なものではありません。」
長くなるから、と言い、イェレナは鉄格子の目の前に椅子を一脚、がたん、と置いた。
そして彼女の口から語られた “本当の目的” を聞いて……僕らは息を飲んだ。
『安楽死計画』
それは、エレンとジークが接触することでユミルの民の体を操作できるという特性を生かし、全てのユミルの民に子供が生まれなくする、というものだった。