第216章 片生
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フロックに連れられ、ジークの拘留地を案内する。
――――どうする、今リヴァイ達の状況はわからない。
無事……何事もなくジークを留めているのだろうか。
ともかく仲間内で争うことを辞めなければ……、でも、もうお互いを信じることなど困難なほどに拗れてしまっている。リヴァイは今は兵団の意向を飲んで動いているものの……、これだけの兵団の裏の動きと、フロックやイェレナの不信な動きをもってすれば兵団に背くことすら厭わない男だ。
――――私は、私はどうするのが最善なのか……。
全ては私が……甘いから、誰も犠牲にしたくないと戯言を掲げているせいで全てが後手になってしまっている。
ああ、いけない。
こんな思考だとまた……判断が鈍る。
今ここに、大丈夫だと……私を見つめて信じて、沿ってくれるナナはいない。気を強く持って状況をできる限り正確に把握し、判断を迅速にして動かなければ……。
突然降り始めた雨によるぬかるみで、駆けることができずゆっくりと進む馬上で、そんなことを考えていた。
と、その時――――、
聞き覚えのある声をあげながら、遠くから一騎、ぬかるみの泥を跳ねさせながら馬で駆けて来る兵士がいた。
「――――フロックさん!!」
これは……アイビーの声だ。なんで?
アイビーはナナを拘留するためにあと男2人の兵士と共にレストランから先に消えたのに。
なぜ彼女だけが戻ってきた……?
まさか、ナナに何か……あったんじゃ………!
血が冷えるような予感と早まる呼吸をなんとか落ち着けながら、フロックとアイビーの会話に耳を傾けた。