第215章 悪夢④
「うッ………、うぅ……っ……!」
クソ髭が、目を開いて呻く。
――――なかなか死なねぇとは言え、痛覚は普通にあるのは考えものだな。終わらねぇ痛みが襲って来るってこった。
――――手足が生え揃う度に斬り落とされるのは……地獄のような苦痛だろう。
「目が覚めたか?おい、待て動くんじゃない。雷槍の信管を繋ぐワイヤーをお前の首にくくってある。ヘタに動いたらお前は腹から爆発して少なくとも二つになるだろう。」
さすがのこいつでも、あれだけ雷槍を喰らえばその威力は身に染みて分かっているだろう。
ジークは朦朧とした意識の中で、自らの腹に刺さった雷槍を見下ろしてそれを認識した。痛みによるものか、巨人化後の消耗か……痛みと苦しみに悶え吐き散らすその様は、見る影もねぇ。
「こうなると死なねぇってのも難儀だな……同情なんかしねぇが……。お前は俺の部下の命を踏み躙った。お前の計画通り。」
徐々に徐々に、斬りおとした腕も足も再生していく。
これが元通りになって体力が戻れば、こいつはまた巨人化しやがる。俺は刃を抜いた。
「――――なぁ。じゃあこれも……ゲロクソまみれで泣きわめくのもすべて計画通りか?」
ようやく生え揃った足先を、輪切りにするように切り刻む。
指一本失うだけでも相当な痛みだと聞く。
――――エルヴィンが腕を失ってからの痛みは、看病をしていたナナに痣や傷を付けるほど耐えがたい痛みだったようだが。
――――俺は経験がないからわからねぇ。
「うあぁあぁぁあッッッ!!」
「うるせぇな。こうやって切っておかねぇとてめぇが巨人になっちまうだろうが。」
「あぁあぁああああ!!」
――――無様だな。
あれだけ楽しそうに俺の仲間の命を奪っておいて。たったこの程度切り刻まれただけで拷問でも受けているかのような悶絶具合じゃねぇか。