第214章 悪夢③
『どこに行った?!リヴァイ!!!』
ジークは今まで自分を守り運ばせていた巨人の四肢を引きちぎり、俺に石つぶて代わりに投げて寄越した。
――――なぁおい、知ってるかよ……お前が今なんの感情もなく引きちぎったそいつにも……名前があった。
信頼してこの班に任命した、俺の部下なんだよ。
『お前の可愛い部下達はどうした?!まさか殺したのか?!可哀想に!!』
――――どの口が、何を言ってやがる。
俺は奴の頭上にある枝という枝を切り落としては、奴に浴びせる。この焦燥の中じゃあ……どんな些細な動くものにも反応してしまうはずだ。
―――案の定クソ髭は、ありとあらゆる枝に向かって必死に肉塊を投げつける。
「―――必死だな……髭面野郎。お前は大人しく読書する以外になかったのに。」
『?!?!』
「何で勘違いしちまったんだ。俺から逃げられるって……。部下を巨人にしたからって、俺が仲間を殺せないと思ったのか?」
――――笑わせる。
俺の部下やラガコ村の住人の命をクソほども尊ばないお前が……『部下を殺して可哀想』だ?
――――それになにより、お前は俺達のことを何もわかっちゃいねぇんだよ。
「俺達がどれだけ仲間を殺してきたか――――、知らねぇだろうに。」
―――なぁエルヴィン。
俺達が殺してきた仲間はいまそこでどうしてる?
また――――……そっちに多くの仲間が逝った。
その代償に相応しい結末を――――……俺達は必ず手に入れる。
その為にはまずこのクソ髭を、ぶっ殺しておかねぇとな。
頭上から降り注ぐ無数の木の枝に紛れて、その項を雷槍で狙う。奴は振りかぶって両腕で頭上から降り注ぐもの全てを薙ぎ払おうとするが、その合間から―――――項に向かって、4本の雷槍を撃ち込んだ。