第213章 悪夢②
「――――ここに繋いでおく。それでいいでしょう?追ってなんて、来れないよ。」
「――――でも、ナナさんを凌辱した。ナナさんを辱めて、汚して……っ!玩具、みたいに……っ……!」
私のために、怒ってくれているんだ。
――――エレンにも似たこの激情は……10代特有のものなのかな。
若くて、青くて、激しくて……悲しくて、愛おしい。
「言ったじゃない、私、思ったより大丈夫なの。」
「――――でも………。」
アイビーの決意はそんなに柔じゃないみたいだ。窘めてみても、まだ銃を持つ手に力がこもっている。
「――――……わかった。止めない。やりたければ……やればいい。私も見届ける。」
「…………!」
「でもね。後悔しないように決めて。」
そう言うとアイビーは、少し俯いてから、銃口を降ろした。
そして俯かせていた顔をバッと上げたかと思うと、男2人の……股間を、思いっきり蹴り上げた。
「~~~~んぐぅぅっ?!!?」
「――――っっう゛うぅ?!?!」
「女だからって馬鹿にしやがって!!!恥を知れ!!この……クソ野郎共が!!」
――――口が悪いのは、憧れているリヴァイ兵士長のせいだと思う……。
………でも、なんとか自分の中で怒りを、憎悪を昇華する方法を見出したアイビーを褒めてあげたい。私は柔らかな気持ちで、彼女のふわふわの金髪をよしよしと撫でた。
「――――行こう、アイビー。」
「はいっ!!」
こうして私たちは監禁されていた古い屋敷から馬を駆って――――……、リヴァイ兵士長達がいる巨大樹の森を、目指した。