第213章 悪夢②
「――――おい、何してる?」
――――かかった。
私は恥じらいながらも彼の方に顔だけを向けて甘く淫靡に囁く。
「――――からだ……っ……変、なの……。熱くて………っ……。」
「はは……っ……、やっぱりとんだ淫乱じゃねぇか……。なぁおい……欲しいか?欲しいと言うなら、挿れてやってもいい。………さっきはあいつばっかり楽しみやがって、俺はまだ足りてねぇからな。」
「―――……欲し、い……。」
演技だとしても……彼ら以外に乞う言葉を告げたことなんてなくて、胸が痛む。
本当は……本当はリヴァイさん、あなたに触れたい。
あなたが欲しい。
どうか、無事で……また私を、抱きしめて。
そう想いを馳せるだけで、苦しくて……切ない。
リヴァイさんのことを想いながらはぁ、と息を弾ませて答えると……男はゾクゾクとした表情で私を見下ろして、立ち上がった。腰につけていた鍵を南京錠に差し込み、牢屋の鉄格子でできた扉を開く。
「――――その隙に逃げようとか考えるなよ?殺せねぇが……手足折るくらいのことは許可されてんだ。」
「――――逃げたくなくなるぐらい、気持ちよくして。」
「――――はははっ……、たまんねぇ……!」
ぎしっ、と大きな音を立てて男がベッドに膝を沈めたその時、枕の下からナイフを取り出す。
――――アイビーが食事のトレイの下に隠して渡してくれた……果物ナイフだ。
男の喉元に突き付けると、男の表情が一変した。
「――――動かないで。」
「っ……お前……っ……!なんでそんなもん持ってんだよ……!あいつ……!!」
男は腰に下げていた銃を抜こうとする。
そう、彼らは銃を携帯しているから……ナイフと銃では勝ち目がない。
――――だけど私は一人じゃないから。