第212章 悪夢 ※
エレンがジークから学んだ話では、巨人学を突き詰める過程で偶然の産物として生まれた、 “人間の姿のまま巨人の力を引き出せる一族” がアッカーマン一族だと言う。
――――さらにはこれまでのアッカーマン一族が培ってきた戦闘経験値が巨人の力の “道” を介して、共有される。
――――だから戦い方が分かる。
どうすればいいのか、体をどう動かせばいいのかが勝手に……わかる。
エレンの口から語られたそれは今までの私の経験と多くが合致して……嫌な頭痛に、また苛まれた。
そしてアッカーマン一族は……守るべき宿主と認識すると、それを守るために生きようとする習性が発動すると言う。
「――――つまりミカサ。お前が俺に執着する理由は、アッカーマンの習性が作用しているからだ。」
「……違う……。」
「違う?何がだ?」
「――――偶然、じゃない……習性……なんかじゃない……。」
「――――………。」
届いて。
遠ざけないで。
これ以上私たちを――――……
私を……あなたから、遠ざけないで。
「あなただから……エレンだから……私は強くなれた。それはあなただから……。」
「――――力に目覚めたアッカーマンは突発性の頭痛を起こすことがよくあったらしい。本来の自分が宿主の護衛を強いられることに抵抗を覚えることで生じるらしいが……心当たりは?」