第212章 悪夢 ※
「――――ナナさん。」
フロックの声に、ナナがビクッと身体を強張らせてフロックを見上げる。
「――――あなたは別に隔離幽閉します。」
「……なっ……、なんで、ですか……!ハンジ団長と一緒に私も行きます……!」
「あんたに決定権などない。」
「…………!」
「エレンの意志です。来てください。そのお綺麗な顔に傷をつけたくなければ。」
フロックがナナに銃口を向ける。
ナナは悔しそうにぐ、と俯いて……従がうと思った。けれどナナは彼女の声とは思えないほど低く冷えた……声で言った。
「――――その言葉は、逆を返せば傷を負うなら彼らと共にいて良いということだと受け取ります。」
「…………!」
「どうぞ。切り刻むなりお好きに。その代わり私はハンジ団長と共にいる。どんな時でも。」
後ろ手で縛り上げられた腕を捻られたまま、ナナはフロックにどうぞ、と顔を差し出した。
「――――本当にあなたは……いつもいつも人を煽る………!」
フロックは苛立った表情でナナの顔にまた銃口を向け直した。ナナを庇うべきか。
――――でも、ナナは自分の意志で行動する。
――――守られてばかりじゃない。
ナナは怯むフロックに対して、毅然と言い放った。