第211章 歯車④
「――――ハンジ、そもそもそのアイビー・フォルステルはイェーガー派として離反している。」
「………そうかい。だからその情報もこちら側の攪乱を招くための嘘だと?」
「――――その可能性もあるだろう。」
「………そうやって疑うことしかせずに時間を浪費した結果がこのザマだ。」
「…………!」
ナイルとローグはぎり、と僅かに唇を噛んで面白くないと言う顔をした。
――――私は信じる。
ナナとアイビーの関係性と……だからこそアイビーが勇気を持って真実を伝えたと。
そして……今も彼女は自分のできることを模索して行動しているんだと。
そう、信じる。
「―――とにかくこれ以上ワインを嗜むのは止めておくのが懸命じゃろう。ハンジ、その真偽の調査に関しては一任する。」
その場を丸く収めたのはまたしてもピクシス司令だ。ともかくこれで私たちも元々の予定通り、ニコロの元へと公的に赴ける。
――――自分の勘を、信じて……、やれることはやる。
調べられる限り調べ尽くすんだ。
今までだってそうだったじゃないか。
そして今も昔も変わらず……私には仲間がいる。
「はい。――――さぁ行こうか、みんな。」
『はい!』
私たちは兵団本部を後にして、イェレナが手配したニコロを始めとしたマーレ人捕虜が働くレストランへと向かった。