• テキストサイズ

【進撃の巨人】片翼のきみと

第211章 歯車④





「ローグ……馬鹿なことを言うな。」



「どうやって爆発しないと証明する?それができない以上はお前ら調査兵団を野放しにしておくわけにはいかない。」





――――話にならないな、やっぱり一度黙らせるか……と思った矢先、その人がその場を制した。







「よさぬか。客人の前であるぞ。仲間同士でいがみ合うより先にやるべきことがあろう。」







ピクシス司令は迅速で的確な采配をした。

イェーガー派が接触したいジークと、それに代わる王家の血を引くもう一人のヒストリア女王を先に押さえる。元より2人の居場所はごく限られた者しか知らせていないが、これだけ兵団内にイェーガー派がいたとすれば……どこからか漏れていても不思議じゃない。

そしてそんな迅速な采配をしたピクシス司令は、驚くべき方向に兵団の舵を切ると明言した。







「エレンに降参しよう。これはもう儂らの負けじゃ。」







両手を上にあげ、降参の動きを見せるピクシス司令にその場の全員が固まった。――――だが、その判断は妙に納得のいくものだった。

兵団の敗因は……こんなにも多くの兵士に兵団を見限らせてしまったことだと。

それには私も激しく同意した。



――――そしてその見限った兵士達……隠れたイェーガー派を炙り出すのは困難であり……そこにかける時間もないという事実。

ピクシス司令は、エレンにジークの居場所を教えることを条件に交渉を持ちかけ、地鳴らしの実験を見守る。

その後のエルディア国の存続もそこに委ねる。



―――その代わり、ザックレー総統という兵団トップを屠ったことを不問とする、という。



ただ私には若干の違和感があった。



――――あの変人・ピクシス司令が……こんなにもエレンに従順に、全てを受け入れるような譲歩の仕方をするだろうか……?







「――――………。」







――――それに、ジークも……フロックたちを懐柔して兵団を混乱に貶めただけで……そんな弱い予防線だけか……?いや、更にまだなにかあるはずだ。

自分たちの思惑通りに運んだ後も、兵団が自分達を自由にしておくわけがないと踏んでいたら……。


/ 3820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp