第211章 歯車④
俺を待つ人影は十数人、思っていたよりも多くの兵士がフロックを介して俺についたようだ。その先頭に立つフロックは覚悟の表れとも言える銃を背負っている。
多くの奴らが何かを成し遂げる……革命を起こすのは自分達だと――――自分が特別な存在であると信じている、そんな表情で俺を見つめている。
その中で1人だけ、僅かに不安そうに迷いを含んだ目をしている……まだ若い、新兵の女がいた。
「多いな。何人いる?」
「ここにいる者以外にも俺達の味方はもっといる。俺達を懲罰房から逃がし、今日ここで落ち合うようお前に伝えた看守も皆、兵団内に潜んでいる。」
「――――………。」
「ダリス・ザックレーを爆弾で吹き飛ばした者もいる。兵政権がお前の始祖を都合のいい奴に継承させるよう進めたからだ。」
フロックはそう言って、俺に羽織り物を手渡した。
「このエルディア帝国を救える奴は……お前しかいないのにな。エレン・イェーガー。」
俺は差し出されたその黒いフードのついたローブを掴んで、袖を通す。
――――まるでお前の望む悪魔になるという、契約みたいだ。
――――やってやる。俺は、進み続けるんだ。
「………ジークの居場所を特定する。それだけだ。」
俺達はそれぞれの想いを腹に抱えて、歩き出した。