第18章 聖夜 ※
「リヴァイ兵士長狙いの女は多いんだ。それに今まで特別扱いなんてしたことなかったからさ。相当目の敵にされると思うよ。………過激な奴だっている。本当に、十分気を付けなきゃだめだよ。」
「そ、そういうものなの………?」
「はぁ、これだからお嬢様はさ!」
リヴァイ兵士長のことを好きな女性たちからの嫉妬の的になる、ということか。そんなことも経験どころか、想像すらしたこともなかった。
リンファは私の無知による危険を、いつも先回りで教えてくれる。同い年だけど、まるで姉のようだ。
「リンファ………いつも教えてくれて、ありがとう。」
私は心からの感謝を込めて言った。
リンファの頬が、少し赤らんだ。
訓練を終えて夕食をとり、いつもならそのまま団長室に向かうのだが、今日は補佐の執務がない。
久しぶりにリンファとたくさん話をしながら、一緒にお風呂に入った。……いつもお風呂の時間が違ったから、体中の印を見られなくて済んでいたのだが、今日までに印が消えていて、本当に良かった……とホッとした。
部屋に帰ろうと廊下を歩いていると、後ろからサッシュさんが声をかけてきた。
「よぉナナ!今日も可愛いな!」
「サッシュさん………やめてください、そういうの。」
私は気恥しくて、困った顔で訴えた。
「……許してやれよナナ、フラれた悲しみを見せないためにわざと明るく振る舞ってんだから。健気だろ?」
「うるせぇリンファ!だいたいよ、お前調査兵団歴も歳も一個下なのに生意気なんだよ!」
「私は敬語は尊敬する人にのみ使うタイプなんだよ。」
「今すぐ尊敬しろよ、ほら。」
「無理だろ。」
二人のやりとりがすごく楽しくて、笑ってしまう。
調査兵団に来てから、愛想、ではない笑顔が自然に出て来ることがとても多くなった。笑うと温かい気持ちになり、それが嬉しい。