第208章 歯車
調査兵団の5名を、情報漏洩の罪で拘束したと兵団から呼び出され、慌ててシガンシナ区の兵団支部へと赴く。その門の前にできている人だかりは………新聞記者たちだ。中には見慣れた顔……ピュレとジルの姿、そして……リーブス商会のフレーゲルの姿もあった。
「なぁハンジさん説明してくれ!!シガンシナ区から全住民強制退去命令だって?!区の再建にリーヴス商会を斡旋したのは兵団だろ!!」
一番に私に詰め寄って来たのはフレーゲルだ。
「――――なぁナナも!!なんか言えよ!!」
私の後を付いて来るナナにも容赦なくその質問は降ってくる。詰め寄ったフレーゲルに、ナナは困惑の表情を向けながらも丁重に目を見て、答えていた。
――――とはいえ私たちが応えられているものはしれているのだけど。
「義勇兵が異性に拘束されたとの噂がありますがその真相は?!」
「エルディア国い勝利をもたらしたエレン・イェーガー氏が幽閉されているとの情報もありますが……?!」
「―――申し訳ありませんがっ……!ハンジ団長はそういった対外的な発表を担当されていません!!どうか憲兵のほうにご質問をお願いします……っ!」
住民たちの凄い剣幕に気圧されつつも、 “団長補佐” であろうと必死になってくれていた。
「ナナ、いい。」
「―――ハンジ団長……!」
「兵団に外界からの富が集中しすぎているとの指摘に、どうお答えでしょうか?!」
「私の担当じゃない。憲兵に聞いてくれ!さぁ通して!!ナナ、行くよ!!」
ナナの手を引いてその雑踏を掻き分けて進む。すると、私の行く手を阻むように一人の男が立ちはだかる。
――――いつか……旧王制転覆のクーデターの時に共に戦った、ピュレとジルだ。