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【進撃の巨人】片翼のきみと

第208章 歯車




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――――パラディ島に帰還してすぐ、ジークは自ら語った。





『パラディ島の1つの村を、威力偵察の目的で壊滅させた。……ガス兵器を使って。』





私とリヴァイはその話を聞いてもすぐに想像ができなかったが、ナナだけは震えていた。――――怒りにか、恐怖にか。

彼女はその医学的知識から、想像できてしまったのだろう。

有害物質を一方的に摂取させられ、人体にどんな酷い変化が起こるのか。そして更にそのガスは……ユミルの民をジークの声一つで強制的に巨人化させ、操ることができるという……無慈悲な、ものだった。

獣の巨人の継承を先延ばしにするべくヒストリア女王に進言したエレンと、おそらくその背後にいるジーク……。





その情報を得てすぐに兵団に報告をした。

――――兵団の判断は早かった。

いやむしろ、口実にちょうどいいとでも言いたそうだ。ジークは調査兵団精鋭班によって秘密裏に隔離拘留。そして――――その手足を捥ぐため、イェレナを筆頭とした義勇兵全員を拘束した。エレンを地下牢に閉じ込め、ジークを拘留し、義勇兵を拘束。



――――私は複雑だった。



イェレナには底の読めない怖い部分はあるけれど、オニャンコポンを始め……港を作ったり……鉄道の整備や航空機の知識の伝授。彼らは本当に……私たちのことを思って接してくれていたと、思っていたからだ。

私ですらそう思うんだ。

義勇兵、彼らのおかげで新しい文化が開け、新しい世界と繋がりを持ち始めたことに歓喜するこの壁の民が……義勇兵の拘束に納得するはずがない。兵団に不信感が募ることになるだろう。

――――と思った矢先のことだった。ナナが青い顔をして、私の執務室のドアを跳ね除けた。





「――――ハンジ団長、調査兵団の5名が……っ……!」



「――――え……?」




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