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【進撃の巨人】片翼のきみと

第208章 歯車








『――――ガス兵器……?』





初めて聞くその言葉を、ハンジさんは素直に聞き返した。

私は………なまじ薬学などの知識があるが故に、描けてしまったんだ。その――――恐ろしさを。

ロイがダミアンさんから容疑をかけられた、病原体の開発やそれを駆使した兵器を “生物兵器” とするならば――――……ガス兵器は……有毒な物質を気化させて吸引させる……そういった類のものだと、想像できた。

撒かれてしまえば防ぐ術もない……無慈悲で恐ろしいもの。



そんな私の想像を、ジークさんの口から語られた真実はやすやすと越えて行くほど――――……ひどいものだった。

それが語られたのは飛行船がパラディ島に到着して、ジークさんを拘留地に移送する準備を整えるまでの僅かな時間。

……わざわざ彼はハンジ団長とリヴァイ兵士長に聞かせるようにこの話をした。





『俺の脊髄液を含んだ物質を気化させてガス化し、対象の街や村の風上から散布する。そのガスを僅かでも吸ったユミルの民はその直後に体が硬直し体の自由は奪われ意識を失う。』





詳しい仕組みはわからないらしいけれど、ジークさんの脊髄液を体内に取り込んだユミルの民は、巨人の力を送り込まれる“座標”というものが刷り込まれる。

――――そしてあとは……ジークさんの思いのままに……叫び一つで巨人化させ、且つ操ることが可能だと言う。



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