第207章 強
「エルヴィン団長、きっと見てます。意地悪な顔して、『お手並み拝見だ』なんて、言いながら……。」
「はは……、言ってそうだ。……腹立つなぁ。」
「じゃあ私、言い返します。『見てろよ!』って。」
「ふ……。」
「『あなたとはまた違う団長と団長補佐の新しい形で……ハンジ団長と乗り越えて行くんだから。悔しがって見てろ!』って。」
私が鼻息を荒くしてふん、と言い放つと、ハンジさんは少しだけ……笑ってくれた。
笑いながら、ハンジさんの頬のすぐ横に顔をぽす、と置いている私のクセのある前髪の一房をくるくると遊ばせて、穏やかな声色で言った。
「リヴァイも入れてあげよう?拗ねるからさ、あの人すぐに。」
「そうですね。じゃあサッシュさんも入れてあげないと拗ねますね?」
「本当だ。んで、そんなサッシュが可愛いくせにさ?リヴァイが意地悪言って、また2人が騒ぐんだ。」
「ふふ……、目に浮かびます。」
「あぁもう……結局何一つスマートに行かないね。ごちゃごちゃする。」
「いいじゃないですか。それが新しい形です。変化して、強くなるんです。」
私が笑うと、ハンジさんは一度深く俯いてから、顔を上げてくれた。