第204章 開戦④
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搭乗口の方がやけに騒がしいと思った。
ようやく静かになって扉が開かれると――――……サッシュとジャンが、ガキを2人拘束して連れて来ていた。
そのガキ2人は腕章をつけていて、この船室の中で一番にジークに目を向けた。
――――そういえばこいつら……俺がジークを狩った時、俺を悪魔を見るような目で見ていやがった2人だ。
「ガビ……ファルコ……、なぜここにいる?」
ジークの口ぶりからすると、それは嘘でもなく想定外のようだ。
「………??なぜって……ジークさんがなぜ??」
「生きてたんだね?!でも!!こいつらに捕まっていたなんて……!」
男のガキは察しがいいな。
どうやら勘付いている。が、信じたくない一心で混乱をきたしているようだ。
女のガキは興奮状態で、まさかジークがこっち側だったとは夢にも思っていないようだ。
「おいサッシュ、このガキはなんだ?」
「――――ロボフさんを殺して立体機動で乗り込んできました。それに――――……」
サッシュが僅かに俯き、言い淀んだ言葉をジャンが続ける。
「―――こいつにサシャが撃たれて……もう助かりそうにありません……。」
――――ミカサとアルミンが、それを聞いて搭乗口の方へと駆けた。
――――ナナがいるはずだ。
手当をしている……なんとか持ちこたえてくれりゃいいが……。エレンが僅かに表情を曇らせた。
その時、操縦室からハンジが出て来た。高度も安定し、あとはパラディ島へ帰還する操縦はオニャンコポンに託したようだ。
「――――それで?すべては計画通りってわけですか。ジーク・イェーガー。」
ハンジの言葉に、ガキ共に絶望の色が浮かぶ。
「大筋は良かったが、誤算は多々あった。」
「………ジーク……さん……?」