第204章 開戦④
「オイ!!サシャ!!しっかりしろ!!!」
「サシャ!!!」
ジャンとコニーと共にサシャに駆け寄ると、僅かにその目を開いて口を動かした。
「うるさいなぁ………もう……。ご飯は……まだですか……?」
「サシャ!!ナナさんが来る!!大丈夫だ!!耐えろ!!」
「――――肉………。」
サシャは徐々に瞼を重そうに閉じて、ぐったりとしながら早い呼吸を繰り返していた。
「サッシュ隊長。こいつら……ロボフさんの立体機動装置で飛び乗って来やがった……。」
「――――………。」
縄で自由を奪った2人のガキが、俺の目の前に跪かされる。
フロックはまるで勝利に泥を塗られた、とでも言うように、迷わず殺すと口にした。
「外に投げます。」
「―――やめろ……。」
「なぜですか?!ガキはガキでも、訓練された敵兵です!!現にサシャは撃たれた!!」
「――――俺達の独断は違うと言ってる。ハンジ団長とリヴァイ兵長の意志を聞く。勝手をするな。」
「――――っ……はい……。」
不服そうに顔をしかめたフロックの横で、ジャンが頭を抱えて座り込んだ。
「子供を空から投げ捨てれば……この……殺し合いが終わるのかよ………っ……。」
その瞬間、船室から続く扉がバンッ!と大きな音を立てて開かれて、息を切らしたナナがサシャに駆け寄った。
「――――サシャ?!?!」
ナナは座り込んでサシャの腹の具合を一目見て――――……、一瞬、喉をぐ、と鳴らした。
そのナナの表情を見て俺は感じた。
――――あぁ、助からないのかもしれないと。