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【進撃の巨人】片翼のきみと

第17章 蠱惑




「…………でも……ウォール・マリア奪還計画に必要な医療提供は望めなくなってしまいましたね………。これから、どうするのですか?このまま強行すれば………本当に………たくさんの人が死んでしまいます………!」


「あぁ死ぬね。下手したら、刈り出された一般市民のほとんどが。」


「!!」


「―――――今回の会食でよくわかったのは、ロイ・オーウェンズにオーウェンズ家の決定権がほぼ移行しているということ。そしてロイ・オーウェンズの目的は一番に君を手に取り戻すこと。作戦の成功やその他の人間の生死に興味はないようだ。………むしろ、弟君は君以外の人間すべてに興味がないように見えたね。」


「……………!」


「そこから察すると、ライオネル家に君を嫁がせることもしないだろう。……ということは、政治の中心に存在するライオネル家すら出し抜ける……そういう算段か力があるということだ。………あの歳では考えられない頭の切れと、あの歳らしい独占欲と一途さが重なると……手ごわい相手だね。」


「弟は………そこまで……言ってなかったのに………どうしてわかるんですか………?」


「………わかるさ。嘘は得意なんだ。つくのも、見破るのもね。」



エルヴィン団長はコーヒーに口をつけて、ふふ、と笑った。


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