第203章 開戦③
「――――サシャ、突破口はお前が開け。お前の銃撃の腕なら狙える。」
「狙える?」
「あの機関銃の視界の隙間から―――――、中に乗って銃を操る人間をだ。いくら背に兵器を背負ってようと、操る人間がいなきゃ意味がねぇ。」
車力の背中に追われた機関銃の操縦部は4つのブースに分けられていて、それぞれに一つの銃砲が縦1m、横1.5mほどの可動域を持っている。そこに一人ずつ、計4人の兵士が乗り込んで銃器を操作している。
―――――その一か所でも穴が開けば、必ず乱れる。
「――――はい!」
「車力が隙を見せたら――――、ジャン、お前も狙え!武装した車力本体の目元から、脳天に向けて雷槍を喰らわせてやれ!」
「はい!!」
無策で近付けばそれだけやられる。
新兵を中心とした構成でこいつを倒すには、雷槍を撃ち込める隙をまず作らねぇとどうにもならねぇ。
サシャの銃撃の腕は調査兵団の中でも指折りだ。――――さすが狩猟民族出身と言ったところか。
――――こんなにも人を殺す算段をすぐに立てて指示できるようになった自分自身を俯瞰して見ることが……憚れる。
――――お前に今の俺はどう見えてる?
なぁ、リンファ。