第203章 開戦③
「――――兵長、俺は車力の巨人を!」
「――――任せる!」
俺の判断を兵長は許可した。
車力に近付こうとしたその時、ウッツが車力の頭上をとった。いくら機関銃が射程距離も角度も広くとも、真上には対応しきれない。
死角から雷槍を撃ち込めると思った。
――――が。
「ウッツ!!!!下だ!!!!」
「?!?!」
車力の頭上に舞ったウッツをその鋭い爪が裂いて――――……叩き落した。
「この野郎ッ――――!!」
削いでやる、そのうなじを―――!
ウッツの体を割いた直後の隙をついて、顎の巨人の背後から項を狙う。刃が僅かにその首元を掠って……顎の巨人は素早く身体を捻って避け、着地した。
「――――クソッ………!」
「――――兄ちゃん!」
「アーチ!!ジャン!フロック!!可能な限り雷槍を補充して備えろ!!顎と車力を俺達で叩く!!」
『はいっ!!』
――――時間がねぇ。
さっき遠くで爆発が起きて……戦艦が吹っ飛んだ光景を見た。アルミンがやったんだ。だとすると間もなく来る。
俺達を迎えに、飛行船が。
俺達は車力と顎に総攻撃をしかけた。