第202章 開戦②
巨人化して再び姿を現したエレンが、タイバーが講演をしていたステージの地下から、強固な水晶体に包まれた戦鎚の本体と思わしき女を捕まえた。
――――なるほど、あの戦鎚は全て傀儡で……あいつがあそこから操っていたというわけか。
エレンがその水晶体から伸びていた操り糸を引きちぎると、戦鎚は倒れ込んでぴくりとも動かなくなった。その水晶体ごとエレンが戦鎚を食おうと、口を大きく開けた瞬間、俺の側にいたサッシュが声を上げた。
「――――来ます!」
言うが早いか、近くの建物を壁伝いに4足獣のようなスピードで接近してきたのは、サッシュが警戒していたもう一体。
「――――あれは、ユミルの…………?」
サッシュが一瞬目を見開いた。
――――見覚えがあった。こいつは顎か。
顎の巨人はエレンの項に、ものすごい勢いで噛みついた。
―――――が、噛み千切れなければ意味はねぇよ。
俺は既に振りかぶった両の手の刃で、顎の顎関節を切断するように一撃で断った。
エレンがそれに気付き、背中越しに建物に顎の巨人を叩きつけて剥離しようと試みる。
怯んだ顎の巨人の項に遅れながらも雷槍を撃ち込んだのは、サッシュだ。
「クソ馬鹿野郎、遅ぇ!!」
「ッすみません!!!」
それに続いて、ミカサ、別隊からもアーチやバリスが援護に来ている。雷槍を何発も喰らって地に伏した顎を、殺せる。
―――――そもそもなんで顎がここにいやがる?
イェレナが奴らを確保する予定だったはずだ。
ともなれば――――もう一匹………。