第202章 開戦②
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戦鎚の相手はエレンとミカサがやってる。
エレンが体から抜けて……ミカサが戦鎚の相手をしだしたな。――――何か策があってのことだろう。
周りの制圧も……事なく上手く運んでいるようだ。
ひとつ気になるのは少し先で想定外に火事ともいえる炎が上がってやがるが――――……あのエリアはサッシュに任せてる。あいつがなんとかするだろう。
「――――兵長!!」
「サッシュ。」
そう、今頭に描いたそいつが俺のところに飛んできた。
今回の作戦で、巨人の項から本体を切り出すのは……獣からジークを切り出して確保するところのみだ。だから最初、俺とエレンを守るミカサのみが旧式の立体機動装置を装備し、残りの奴らは敵兵や拠点制圧のための、対人立体機動装置をつける予定だった。
―――ところが途中……作戦を練り上げる段階で、サッシュが自ら言い出した。
『俺も対巨人用を装備します。』
その場にいた誰もが、驚いた。
新兵や編入してきやがった奴らは特に口々に俺がいれば問題ないと口を揃えて言っていたが――――……、そんな中であいつだけは、あの馬鹿ないつもの調子でなく、しっかりと俺の目を見て言いやがった。
『―――いくらリヴァイ兵長でも、何が起こるかわからない。これはそんな戦争でしょう。ジークの確保は最重要とも言える事項。それを……人類最強だから大丈夫、なんて理由だけでなんの保険もなく安易に一人に負わせるリスクはデカいと俺は思う。』
――――初めて、だった。
誰かが俺の力を過信せずに備えようとしたのは。
『――――私も、サッシュ隊長の意見に賛成です。』
そこに同意見を被せたのは、ナナだった。
『――――平野で、対巨人だけの戦いであれば……リヴァイ兵士長の力に更に何かを備える、よりは……周囲の索敵・戦力補強に向けるほうが良いと思いますが……、これは、巨人と、人と、兵器が入り乱れる未知の戦争です。――――思い通りに行かないことのほうが、きっと多いから。ミカサはエレンに付く以上――――もし……リヴァイ兵士長になにか……あった場合に、代わりに……それを担えるとしたら……サッシュ隊長しか、いないと思います。』