第202章 開戦②
ぞわ、と嫌な感覚が全身を襲った。
戦鎚の巨人の手元で何かが光りながら……精製されていく。
弓………?!
飛び道具は、危険だ。
私はすぐにエレンを抱えてその場から退避した。すぐさまその弓のような武器から射出されたものすごい速度の矢は、エレンが抜け出した巨人体の体に命中した。
「戦鎚の巨人……硬質化で何でも器用に作っちまうってわけか……わかってきたぞ。」
エレンはなおも冷静に、戦鎚の巨人を観察しながら呟いた。
「いくらうなじを潰しても死なねぇわけだ。ミカサ……奴の注意を引いてくれ。上手くいけば、戦鎚の巨人を食える。」
「――――………。」
「――――おそらく戦鎚のあの巨人も……武器と同じく作り物だ。あのうなじに本体はいない。――――本体はステージの下の地下……ほら、あそこから何かが繋がってる。」
エレンの指すとおり、まるで戦鎚の巨人を操っている糸のような物体が、地下へと伸びている。
――――私が気を引いている間に、エレンが本体を確保……食うと、いうわけか……。
言う通りに、するしかなかった。
ここまで来てしまっては……エレンを奪われる……もしくは殺されるわけには行かない。
この戦争に、勝つしか……道は残されていないから。
エレンはいつも私の力に頼りたがらなかった。
昔から。
―――――こんな時にだけ頼るなんて……
それはとても、ずるい。