第202章 開戦②
「フロック、てめぇさっきの――――……。」
フロックを放ってはおけねぇ。
命令に背いて、勝手な行動をしやがった。
そしてアイビーやドミニク、ウッツまで危険に晒しやがった。
俺はフロックを一発殴り飛ばしてやろうと歩を進めた。その時、この異常な炎に気付いたのか、ジャンが駆けつけて来た。
「おい?!収容区ごと燃やすつもりかよ?!民間への被害は最小限に抑えろ!!」
「…………。」
そう叫んで近付いてくるジャンに、フロックは面倒臭そうに舌打ちをした。
「――――あれは……?!」
その瞬間に、俺は微かに見た。
ジャンの来た方向の後……僅かに光った。
あれはライトの光じゃない。
――――巨人化した。
誰かが、秘密裏に。
「――――おい、ジャン!!ここの指揮は任せていいか!」
「はっ?!はい!」
「――――嫌な予感がすんだよ。――――兵長がいてくれるが……それだけじゃ足りねぇかも、しれねぇ。―――対巨人用立体機動装置をつけてるのは、兵長と俺だけだからな……。」
「――――ここは任せてください。行ってください、サッシュさん。」
――――頼もしいな、ジャン。こいつも。
指揮官に向いてる。
いずれ近いうち……班長を任せて俺の隊に欲しい。
――――リヴァイ兵長も、俺を見てこんな想いを抱いたことがあるだろうか……そんなことを思いながら、この惨状の中不謹慎にも口角が少し上がった。
目の端でちらりとジャンに目くばせをしてから、光った方向へと駆けつけた。