第202章 開戦②
「くそっ……、くそっ……、無事でいろよ……!」
あらゆる部屋を開け回って――――、ようやく見つけたのは、ドラム缶を抱えるアイビーの姿だ。
なにかひどく、怯えている。
「おいアイビー何やってる?!」
「……っ隊長……!あの、本当にこれっ……!」
「あ?!?!」
――――ドラム缶の中身は燃料か。
引火したらどうすんだ。何を考えてやがる?!
一瞬理解に苦しんだその時、フロックの声がした。
「何やってるアイビー、早く撒いて火をつけて退避しろ!!」
「――――フロック……?!」
「フロック、さん、でも……っ……!」
俺とフロックに板挟みにされて動揺するアイビーはその大きな目をきょろきょろと動かしている。
―――勝手なことをやってんのは……お前か、フロック……!
「フロック!!誰が火をつけろと言った?!民間人がいたらどうすんだ!!」
「――――甘いですね。民間人であっても俺達を悪魔の罵る、敵じゃないですか。」
「あぁ?!?!てめぇ何馬鹿なこと……!」
フロックに掴みかかろうとしたその時、階下からごぉっ、と勢いよく火が迫って来ているのが見えた。
「――――くそっ、とにかく屋上に退避しろ!!」
「はっ、はいっ!!」
フロックは納得のいかない表情のまま、俺の後に続いて屋上まで退避した。
「―――良かった、みんな……!」
ロボフさんが安心した、という顔で制圧完了の灯火をともした。