第202章 開戦②
エレンの奇襲に合わせて、潜伏していた調査兵団が全員マーレ兵の無力化の為に動き出した。
――――俺もまた、班を率いて建物の上でエレンを狙う固定砲の部隊の人間を……立体機動装置を駆使して上空から銃撃した。
―――――そのほとんどを、俺の指揮で殺した。
「――――屋上階固定砲部隊掃討完了。この建物を完全に制圧する!フロック、ドミニク、ウッツ、アイビー、階下を押さえろ。行け!ロボフさんは周囲の警戒と階下からの合図で灯火用意!」
「はい!サッシュ隊長。」
「は、はいっ!」
「はい。――――行くぞ、ドミニク、ウッツ、アイビー。」
――――フロックに任せて大丈夫か……と一瞬、思ったが……ここ最近あいつはやけに能動的に動いてる。みすみす新兵や後輩兵士を死なせるようなことはないだろうと考え、行かせた。
ロボフさんは元々駐屯兵団の師団長をしていたような人で……オルブド区で調査兵団の働きに心動かされて編入したと言う。ロボフさんが喜々として語るのはいつも、エルヴィン団長とリヴァイ兵長のことだ。―――すげぇ男だろう?エルヴィン団長もリヴァイ兵長も。
憧れる気持ちはよくわかる。
師団長の立場を捨てて新兵として調査兵団に編入するなんて、相当な意気込みと覚悟がなければできないことだ。
「――――サッシュ隊長……なにか……おかしくない、ですか……。」
「――――ん……?」
ロボフさんが屋上から身を乗り出して階下を覗き込む。
そこから立ち上がるのは黒煙だ。
階下が―――――激しく燃えてる。
「――――なっ……やられたのか?!……ロボフさんは待機しててください!俺が行く!!」
「――――サッシュ隊長……っ……!」
―――すげぇ煙だ。外から窓を破って侵入はできないな。……どうやら下の階から火が上がっているようだ。
俺は建物の中のルートを選び、階段を駆け下りた。