第17章 蠱惑
「はははっっ!!お前………っ、告白してきた奴に惚気るなんて鬼かよ!」
「えっ、いや、あの、すみません………!だってそのっ、サッシュさんの気持ちが………嬉しかったので、私もちゃんと……偽らずに気持ちを話そうと思って……っ!」
「あ――――――、おもしれえ奴………」
サッシュさんが笑ってくれたので、私はホッとした。その瞬間、腕が大きく引き寄せられ、私はサッシュさんの腕の中に納まった。
「――――――――!」
「………ちいせぇ身体。」
「あ、あの、離してください!」
「嫌だ。一回だけだから。」
「一回だけとかじゃないです、それに前にもされましたし!すでに二回目ですこれ……!」
「バレてたか。」
「バレてます!」
私は両腕でサッシュさんの胸を力いっぱい押し返すが、びくともしない。
「もう、いい加減に………!」
力の限り突っぱねようとした瞬間、私は解放された。目の前には、変わらず切ない目をしたサッシュさんが、なんとか笑おうとしている。
「…………ま、やっぱお前はおもしれぇからさ。これからもそれなりに構ってやるよ。」
「…………。」
「…………喜べよ。」
「………はい、でもなんだか複雑です。」
「笑わせんな、どう考えても俺の方が複雑だろ。」
「そうですね。」
おかしなやりとりをして、とたんに二人で吹きだして笑った。