第17章 蠱惑
「それ、いつも髪に結ってるの、兵士長のか?」
「!!」
私は自分の頬が紅潮したことを自覚した。
好き、という気持ちの意味も、好きだと口にすることの切なさも、今の私はわかるから。
「そう……なんです……これは、私の……お守りなんです。」
「………あの人、そんな事すんだな。想像もできねぇよ。」
サッシュさんがまた笑う。
「いえ、あのっ………リヴァイさんは……たしかに厳しいし、怖いし、不機嫌だし、乱暴だし………でも………わかりにくいけれど、信念が強くて、愛情深くて、優しくて、私の心の大事な部分を、作ってくれる………そんな人です。」
「……………好きなんだな。リヴァイ兵士長のこと。」
私は首を横に振って好きの言葉を否定し、サッシュさんには到底目を合わすことができないまま目を伏せて呟いた。
「……………………大好き………。」
その言葉を口に出すだけで、心臓がギュッと苦しくなる。
頬が上気する感覚。
おずおずと顔を上げると、サッシュさんはきょとんと眼を見開いたかと思えば、吹き出すようにして笑い始めた。