第201章 開戦
数分後、予定通りにそれは来た。
僕の頭上を……オニャンコポンが操縦し、ハンジ団長とナナさんが乗った飛行船が通過した。
僕は巨人の体から離脱し、対人立体機動装置のアンカーを飛行船の下部にアンカー固定用に取り付けておいた丸太に向けて射出。そのままワイヤーを巻き取り、飛行船に乗り込んだ。
――――僕に手を差し伸べてくれたのは、ナナさんだ。
「――――アルミン。怪我はない?」
昔はナナさんが随分大きく見えたのに。
今はもう、僕よりも華奢で小さくて。
僕の手を小さな……人の命を救う手で、ぎゅっと握って引き上げてくれる。
「――――怪我は、なにも………。」
僕が目を合わせられないまま俯くと、ナナさんは僕の背中をそっとさすった。
「――――心が痛むなら……アルミンだけが背負うものじゃないからね。」
「――――………。」
「――――私だって成す術なく、こうやって見てた。――――もし私が超大型巨人の力を持っていたら、私がやるはずだったこと。」
「――――はい………。」
「おかえり。……引き続きレベリオでみんなを無事回収できるように、気を引き締めていこうね……!」
「はい!」
ナナさんは笑った。
悲しい笑みだ。
この悲しみが……失った命が、報われることをただただ僕たちは……祈りながら突き進む。
しばらくしてレベリオの街並みに、点々と灯された明かりが見えて来た。
それはまるで光の道のようだ。