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【進撃の巨人】片翼のきみと

第201章 開戦





「――――確かに俺は……海の向こう側にあるもの全てが敵に見えた。そして……海を渡って、敵と同じ屋根の下で……敵と同じ飯を食った。……ライナー、お前と同じだよ。」



――――ライナーが俺達と過ごす中で……兵士としての人格を創り上げて、仲間を裏切り殺さなくてはならない現実から逃避しようとしたその気持ちが、俺には理解できる。

――――同じだった。こいつらも……俺達も……。





「―――お前たちは壁の中にいる奴らは自分達とは違うものだと教えられた。悪魔だと。……まだ何も知らない子供が……何も知らない大人からそう叩き込まれた。――――一体何ができたよ、子供だったお前が……その環境と歴史を相手に。――――なぁ?ライナー。お前……ずっと苦しかっただろ?」





俺の言葉は……本心だ。





「今の俺には……それがわかると思う……。」





―――――ただ、もうこれは……俺達だけでどうこうできるものじゃないということも、俺には……わかる。

ライナーは急に椅子から崩れ落ちて、床に伏した。





「違う!!!――――違うんだエレン……!俺は……パラディ島に着いたあの日……!マルセルが……仲間が食われて……アニとベルトルトは作戦を中止して引き返そうとしたのに……俺は……作戦を続行させたんだ……。それは……保身もあるが……俺は……英雄に……!なりたかった……!」





俺の目の前に膝を着いて額を地にするライナーは惨めで……あの頃の面影など、なにも無かった。





「……お前らに兄貴面して気取ってたのもそうだ。誰かに尊敬されたかったから……!あれは……時代や環境のせいじゃなくて……!俺が悪いんだ……!」



「――――………。」



「もう……嫌なんだ自分が……俺を……殺してくれ……、もう、消えたい………。」




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