第17章 蠱惑
「どうだ?」
「すごい!!!!」
私は目を見開いて、その感動を伝えた。私のあまりの喜びように、サッシュさんもまた目を見開いた。
「すごいです、ほんの少しの……調整だったのに…!まるで、立体機動装置が自分の身体の一部みたいで……!」
「……おぅ、良かったな。」
「駆け上った先の空が綺麗で、私、鳥になったのかと思いました。」
「…………そうか………。」
興奮気味に話す私を眼を細めて眺めているサッシュさん。私とサッシュさんの間に、乾いた風がひゅ、と吹き、枯れ葉が舞う。
「お前が好きだよ、ナナ。」
枯れ葉を躍らせる風の合間に、はっきりと聞こえたその言葉。
「………え……。」
「………わかってんだ。勝ち目がないこと。お前が、リヴァイ兵士長のことをいつも目で追ってることも、………リヴァイ兵士長がお前を見る目が、見た事ないくらい優しいってことも。」
「…………。」
「でも、どうしても目が離せねぇんだよ。」
サッシュさんは自嘲気味に、はは、と作った笑みを見せた。
「あ、私……その………っ………!」