第201章 開戦
「―――もう一度言う。ライナー、座れよ。」
お前に拒否権はない。
そう意味を込めて促すと、ライナーは目線を泳がせて冷や汗をかいたまま俺の向かいに置いてある古びた椅子に座った。
おかしな空気ではあるが、一応落ち着いたと思ったのか、ファルコは気を利かせたように言った。
「……では僕は先に戻ってますね。」
「いいやファルコ。お前もここで話を聞くんだ。」
「………え?」
古い友人同士の話に、なぜ同席させられるのか……そんな怪訝な顔のファルコを、ライナーが窘める。
「ファルコ……言う通りにするんだ……。」
「………はい………。」
窓の外からはファンファーレや民衆のざわつきが絶え間なく聞こえている。
「もう……始まりそうですね……。」
ファルコもステージを見に行きたいのだろう、もしくはこの重すぎる空気をなんとかしたいのか……そわそわした様子で言葉を発した。ライナーは黙りこくった末に、震える声で言った。
「……エレン……どうやって、ここに来た……?」
「お前が最初に聞きたいのはそんな事か?」
「……何しに……ここに来た?」
「お前と同じだよ。」
俺の言葉を聞いてライナーは、まるで訓練兵の時の頼りがいのあるライナーとは別人のように……頭を抱えてぶるぶると震え出した。
そりゃそうだろうな。
自分たちがしたことが、返って来たんだ。
それくらいには、自分達の罪の重さを理解しているようだ。
「………な………、な………。」
言葉にもならねぇか。
「『何で?』ってか?わからないか?お前と同じだよ。『仕方なかった』ってやつだ。」
「………俺は………。」