第200章 魔法 ※
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――――こんなはずじゃ、なかったんだけど……なんて後悔しても遅い。
自分から部屋を訪ねたのだし、リヴァイさんはそれでなくても朝が凄い。
――――それに……本当は幸せで、嬉しかった。
激しく抱かれて足腰に力が入らないまま、兵服に身を包む綺麗な所作のリヴァイさんを、ぼんやりと見ていた。白いシャツのボタンを全て止めたあと、クラバットを手に取った彼に、何とか身体を起こして声をかけた。
「あっ……、私、がつけたい……。」
「――――あ?」
ふらつく足取りでシーツを纏ってなんとかリヴァイさんの方へ歩み寄って、その手からクラバットを受け取る。
人類最強とはとても思えない華奢なその首にクラバットを回して、きゅ、と前で結んだ。そして見えないけれど、彼の名前が刺繍してあるそこに……願いを込めて、ちゅ、と唇を寄せた。
「……なんだ?」
「――――生きてまた会える、おまじない……。」
「――――信じねぇぞ、俺は。」
「ふふ、いいんです。私が……信じるから。」
見上げた私に、またリヴァイさんは甘いキスをしてくれる。
「――――随分吹っ切れた顔をしてんな。」
「そうですか?それはきっと、リヴァイさんが魔法をかけてくれたから。」
「――――ならいい。」
リヴァイさんは私の頭をくしゃ、と撫でる。