第200章 魔法 ※
「――――お前も着替えて早く来いよ。」
「はい。」
「あぁそれとついでに……隣の部屋の奴に『エロい喘ぎ声聞かせてごめんなさい』って言っとけ。」
「!!!」
「じゃあな、俺は先に行く。」
「~~~~~………。」
とても、最後になるかもしれない別れの日の朝には思えないやりとり。
――――でも、それが嬉しい。
また前を向ける。
私は大丈夫。
リヴァイさんも……ハンジさんも。
エレンも……きっとなんとかなる、大丈夫だ。
やれることを、やるだけ。
そう、それはとてもシンプルだ。
――――そうすればきっと、また……みんなで笑い合える日を勝ち取れる。あの子が自由に羽ばたける世界を、きっと手に入れられる。
リヴァイさんが部屋を出て扉がぱたん、と閉まったあと、私は両手でぱちん!と顔を叩いた。
「――――よし!!」
シャツを羽織る時にしゃらん、と鳴る片翼のネックレス。
―――――エルヴィン。
始まるよ、いよいよ。
そこで見ててね。
私にやれることをやる。
私が望むことを。
望むままに。
――――あなたに恥じないように……
――――この背の翼に恥じないように。