第200章 魔法 ※
だからあなたの言葉で、魔法をかけて。
あなたが望めば、私はそれを叶えるために何だってやれる気がするから。
「――――戦えねぇことを、引け目に思うな。」
「…………!」
「――――お前はお前にしかできねぇをやれ。そして………」
私を静かに鼓舞し励まし……慰める言葉を紡ぎながら、リヴァイさんはそっと私の頬に手を添える。
私はいつものように、その手に手を重ねて……彼を見つめる。
「―――――俺に抱かれに……俺のために、生きて帰れ。」
「――――………。」
「―――――嫌がっても気が済むまで抱く。覚悟しとけ。」
―――――そう、そうやっていつでもあなたは………私を思いのままにしてしまう。
「――――はいっ………、リヴァイ、さん………!」
「またそうやって………すぐ泣くな、お前は。涙腺ぶっ壊れてんじゃねぇか。」
リヴァイさんははぁ、とため息をついたけれど……その顔は優しくて……、私の機嫌をとるように、頬や顎の下をすりすりと指で、まるで子猫にそうするように撫でてくれる。
「―――――だって、好き……なんです……。」
「――――あぁ。」
「……リヴァイさんの魔法にかかれば、なんだってできるから……。」
「そうだな。――――そうやって……超えて来た。お前は、どんな状況でも。――――ハンジのことも――――頼むぞ、ナナ。」
「………はいっ……!」
その言葉が嬉しくて、また自分の手の甲で涙を拭う私をあやすように何度もキスをしながら、リヴァイさんはぎゅっと私の体を抱く腕に力を込めた。
お互いの体を強く抱き合って……狭いベッドで2人、体温と鼓動を感じ合いながら、短い眠りについた。