第199章 愛日
「ナナさんがリヴァイ兵長の横に並ばないのなら、私が並び、たいんです……!」
きゅ、と両手で拳を握りしめて、勇気を振り絞るみたいにそれを口に出した。
――――幼い恋心だか何だか知らねぇが、俺は応えることもできない。
「――――いきがるなよ。お前よりも遥かに実力も経験も持った奴らがいる。まずはそこに追いつけるように精進することだな。」
「はい!そうします!」
牽制のために鋭い言葉を刺したつもりだったが、アイビーはあの頃と似た人懐っこい笑顔でにこっと目を細めて笑った。
「――――あなたは私の憧れです。ずっと。」
「――――そうかよ。」
その目はまるでここに来たばかりの頃のナナを思わせる。尊敬と憧れを込めた、輝くような目で俺を見ている。
「ねぇアイビー!フロックさんの手伝い、行くよ!!」
「あっ、はぁい!!」
少し離れた所から、ルイーゼがアイビーを呼ぶ。
フロック……最近ルイーゼを中心とした新兵とフロックが一緒にいる所をよく見かけるが……何か面倒事を企んでんじゃねぇだろうな。
「ではリヴァイ兵長、また!」
アイビーは会釈しながら笑んで、その場所を離れた。