第199章 愛日
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「――――リヴァイ兵長!」
「……アイビーか。なんだ。」
翼の日に俺とナナに会いに来ていたアイビーが、まさか本当に入団してくるとは思ってもいなかった。
新兵として今年アイビーが入団してきてからは、ことあるごとに俺に話しかけにくる。その日も食堂で夕食を終えた兵士が一時の自由時間を得るその時間、ふと通りがかった俺を目ざとく見つけては駆け寄ってくる。
「――――ずっと聞きたかったんですが……私の作戦で、ナナさんを射止められました?」
「……今はそんな話をする暇はねぇ。それ以外に用がないなら行く。」
あの頃、さらりとしていた金髪は長く伸びて、ここに来た頃のナナと似た髪型に高く結っている。
人懐っこいところは変わらねぇ。
が、急に女になったみたいで扱いに困る。
―――まぁあの頃から、マセたガキだとは、思っていたが。
俺がアイビーを冷たくあしらうと、アイビーは物申したげに唇を尖らせる。
「――――冷たいです。昔はあんなに優しかったのに。」
「あの頃のお前は翼の日に来ていた一般市民のガキだったが……今お前は俺の部下だ。冷たいもクソもあるか。無駄口を叩いている暇があるなら、訓練でもしてろ。」
「ナナさんは訓練あんまりしてないです……よね?」
「――――あいつの主な業務は団長補佐と医療班だ。戦わねぇのに訓練は必要ない。」
「――――ナナさんの指に、指輪がないのは……やっぱりまだ、捕まえられていないんでしょう?」
突如話題を変えたかと思えば、また下らねぇことを言いやがる。
「そんなものは必要ない。そしてお前には関係ない。」
「あります。私、リヴァイ兵長のお嫁さんになること、諦めてません。」
「―――――………。」
驚いた。
なんだ、そんな話をしたか?面倒なことは御免だ。