第199章 愛日
「――――その……生涯を誓った人って……。」
「――――獣の巨人の……投石を受けて……亡くなりました。」
「―――――…………。」
「――――だから私は理解したいんです。いつかあの世に行ったら……、彼に、飛行船の話をたくさん……聞かせてあげたいから。」
――――それは私の紛れもない心からの言葉。
ジークを憎いと思っている。そのジークの策に乗るしかないこの状況を、歓迎していない。
……けれど大事な人をこれ以上失わないために……やれることを、私にできることを、やるの。
――――それがきっと、エルヴィンのためにもなる。
……そして……もしこの先に平和が訪れて……まだ私が生きていられたら。
――――その時は……。
「――――そう、でしたか……。俺はてっきり、もうずっとリヴァイ兵長と良い仲なんだって……。」
「――――ずっと、いい仲ですよ。」
「えっ?!」
「……ふふ。」
意味深に笑って見せると、オニャンコポンさんは一瞬動揺したような素振りを見せたものの……ふっと笑ってくれた。
「飛行船の手配も上々です。ヒィズルから、まもなく届くでしょう。届いたら実際に中に乗り込んでみて……その愛しい人に存分に語ってあげてください。」
「………はい。」
オニャンコポンさんが言った飛行船を心待ちにするように、私はまた……抜けるような蒼い空を見上げた。