第199章 愛日
「――――ナナさんは離団されていて、最近戻られたってリヴァイ兵士長から伺っていたので……、やっとお会いできて嬉しいです!」
「うん、私も嬉しい。……アイビー、こんなことを聞くのは間違ってるかもしれないけど……、調査兵団に入ること、ご両親は心配されなかった……?」
ご両親の反対を押し切ってまで……だとか、そんなことだったらどうしよう、という思考が芽生えたのは、私が母と言う立場になったからだ。
“壁の勇者” そう言えば聞こえはいいけれど、危険な箇所に飛び込んで……敵と最前線で戦う集団だ。
――――最愛の愛娘をそこに入れるには、相当な覚悟がいるだろうと想像したから。
「えっと……まぁ、少しは。」
アイビーはふふっと笑った。
「――――でも私は自分の意志を曲げたくないので!自分の信じるものを、信じて戦いたいんです!」
「――――そう……。それは、すごく……強くて、素敵だね。」
「憧れのナナさんにそう言って貰えると、嬉しいです。」
「これからまた調査兵団は大変な道を歩むことになるけど……宜しくね。」
「はい!!」
アイビーは深く頭を下げて、笑顔を残してその場を去った。
――――なんだろう、この妙な気持ちは。
仲間が増えることに対しては心強いし……、あんなにも私たちのことを信じて力になりたいと熱意を滾らせている子で、大歓迎すべきなのに。
言い知れぬ小さな不安を抱きながら、私は立体機動装置の片付けを再開した。