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【進撃の巨人】片翼のきみと

第17章 蠱惑




「お褒めにあずかり、光栄です。……はい、終わりましたよ。」



私は笑顔を返し、テーピングを終えて手元を片付ける。




「……………やっぱ………。」




「………え?」





サッシュさんが何かつぶやいたが、聞き取れなかった。



「いや、なんでもねぇ。」

「そう、ですか?」



私はぺこりと一礼をしてその場を立ち去ろうとした。



「あ、そうだナナ。朝見てたんだけどよ、立体機動装置の調整をもう少しした方がいいぜ。バランスが悪い。このあと、一緒に見てやるから……訓練終わったら。またここに来いよ。」

「いいんですか?はい!ではお願いします。」



嬉しい申し出に、私は満面の笑みで答えた。



ここに来てから、 “先生” ではない、歳の近い存在に教えてもらうことが多くて驚き、それがとても嬉しい。

私は誰かに教えることはあっても、学友に何かを教えてもらったり、医学以外の話をしたことがあまりなかったから。

ここでは彼らが、さも当たり前のように、自分が得意なことを教えたり、素直に教えを乞うている。損得抜きに、お互いのために声を掛け合う。

そんな中に身を置けていることが、私の胸を弾ませた。

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