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【進撃の巨人】片翼のきみと

第198章 不和




「――――例え意表をついても、飛行船が撃ち落とされたら意味がねぇ。飛行船のレベリオ侵入時間までに、どこまで敵を無力化させることができるか、が重要だな。」

「――――こっちの戦力は……始祖と進撃を併せ持つエレン。そして…獣のジーク。超大型のアルミン。アルミンは別行動で軍港を落としてもらうことになる。そしてジークは建前上はマーレ側だ。表立ってマーレとは戦えない。むしろ我々と交戦するふりをすることになる……。咢と鎧、戦鎚が一堂に介したとしたら……到底エレンだけでは無理だ。我々調査兵団で……援護することが前提になる。」

「雷槍の出番ですね。」



こうしてアルミンの生み出した打開策を軸に据えてからは、各々の動きを話し合い、組み上げながら……レベリオ襲撃のシナリオはより色濃く……作られていった。

私は――――これは紛れもない戦争だと、そう……悲しい気持ちを押し込めてその議事を全て細かく記録していた。



――――やがて議論を終え、みんなが散り散りに自分の部屋へと帰って行った。

私は団長補佐としてこの議事をまとめ上げ、あしたイェレナさんたちに持ち掛けられるように整えたり、ハンジ団長のところに来ている兵団本部からの書類に目を通して整理しつつ、気付けばもう……時計の針が深夜0時を指しそうだ。





「――――うわっ、もうこんな時間?!ナナ、もういいよ、お疲れさま!」





ハンジさんは伸びをしながら、私に仕事の終わりを告げる。



「いいのですか?まだ残っている残務……お手伝いしますが。」

「駄目だって。また私リヴァイに怒られるの嫌だもん。見ててみな?ぜったいこの部屋から出たら、リヴァイも出て来るよ。」



ハンジさんがあはは、と笑う。

――――皆さんがこぞって、私が戻ってから……ハンジ団長がまた少し、笑うようになったと言われる。

私はそれが……とても嬉しい。

―――こんなに仲間を大事にしてくださる人だから、最後まで私はこの人を支え続ける。どんな過酷な道でも。

そう思うと少し強くなれそうで。



「――――わかりました。では、今日はこれで。」

「うん。お疲れさま。また明日お願いね。」

「はい。」



私は団長室の整理をしてから、部屋を出た。


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