第198章 不和
「だけど、だからと言って話し合いましょう、殺し合わないでおきましょう、なんてことはもう……不可能に近い。」
「――――……はい。ごめんなさい、話を逸らしてしまいました。――――それで一つ、思ったのですが……やはり退路は “空から” しかない、とは思います。そして……どこかに停めおくことがリスクだとするなら……、意表をつくしかないです。」
「――――意表……?」
私の言葉に、以前は耳の下まであった長い金髪を短く切って、随分大人びた印象に変わったアルミンがハッと顔を上げた。
「――――レベリオの上空を低空で飛行船で通過して……回収する。止めない。――――なら、可能かもしれない。」
「――――うん、私もそう思う。」
アルミンの目が、生き生きとして見える。
――――人を殺す算段よりも、この子は……やっぱり夢を見ること、仲間の力になることほど……輝かしい顔をする。
もう、昔の優しく可愛いアルミンではないんだと……その成長が嬉しい。
「――――エレンが襲撃する講演会は日が落ちて随分経ってからだ。辺りは闇に包まれていて……恐らくライトを灯さずに接近すれば、ぎりぎりまで飛行船は気付かれないはずです。」
「――――でもライトを灯さないと仲間の居場所もわからないし……乗り込みたくても仲間にも飛行船の場所が分からないんじゃ……?」
ミカサが首を傾げた。確かにそうだ。でもなにかやり方があるはず。
――――なにか。
「例えば――――光の道を、作るのはどうでしょう?」
アルミンがハッとした顔で、一点を見つめて言った。
「なるほど、確かに……!大通り沿いの家屋を……制圧したところからその屋根にライトを灯して……制圧完了の目印にもなるし、飛行船の行路を示すための光の道にもなる……!」
ハンジ団長が掌に拳をぱん!と鳴らした。