第198章 不和
「――――聞けば聞くほど、マーレにいる9つの巨人を宿した人達と、話を、してみたくて。」
私が零した言葉に、一同が目を見開いて黙った。
「……正気かよナナ、敵……だぞ……?」
サッシュさんがはは、と冗談だろ?と笑った。
「――――いえ。だって……知りたくて。」
「――――知りたい?なにを。」
私の言葉の続きを促してくれるのは――――、いつだって、リヴァイさんだ。
「――――進撃の巨人の力を介して父親の記憶を覗き見たエレンに聞いたんです。――――彼らは……、ユミルの民として収容され、差別され、管理され……、その中からマーレという国に認められるために、人権を得るために戦士になるべく訓練を、受けて……。そして敵国との戦の前線で戦う……。自分達を使う、マーレの……ために……。」
「――――………。」
「もし……もし、私なら……そんな理不尽なこと、耐えられないです。――――生きる意味は、なんなのだろうって……迷子に、なってしまいそうで。――――もしそれに耐えて、その役割をやれるとしたら理由は……一つしかなくて。」
――――そうなの、きっと、そう。みんな。
「――――大事な人を守る為に、その境遇に甘んじる辛い道を、選んだ人なんじゃないかと、思うから……。」
――――娘の笑顔が浮かぶ。
あの子の笑顔を守るためなら。
――――リヴァイさんを、調査兵団のみんなを守るためなら。
私だってどんなに理不尽な環境でも、生きる意味なんてわからなくなっても――――この笑顔を守ることこそが生きる意味だと言い聞かせて、見ず知らずの人に銃口を、刃を突き付けることすら、きっと躊躇わない。
「――――そんなこと、想像したことも……なかったよ……。」
ハンジさんがぽつりと言葉を零した。