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【進撃の巨人】片翼のきみと

第198章 不和




イェレナさんとオニャンコポンさんが退出して、調査兵団だけでエレンとジークを敵地から回収する術に頭を悩ませた。





「――――いくら相手の軍港を破壊して……戦艦からの攻撃を防ぐとしても、だ。その他にだって脅威はある。銃器系の兵器も備えているだろうし……、何より9つの巨人の内、確実に鎧、咢、車力を向こうは持ってる。それにタイバー家が代々保有する戦鎚――――これも未知数だ。――――例えばレベリオから少し離れた場所に飛行船を用意してそこで落ち合うとしても、そもそも待機中に襲撃を喰らう可能性もあれば……そこに向かうところをもちろん追われて……最悪飛び立ったとしても撃ち落とされるのが関の山かな……。」






ハンジさんが顎に手を当ててうぅん、とうなる。



「話の腰を折ってごめんなさい、ハンジさん……、あの、車力の巨人、というのは……?」

「あぁ、そうかナナは知らないよね。四足歩行で銃器を背に装備して、その中に人を乗せるタイプの厄介なのがいるんだ。」

「――――人と、銃器を……乗せる……。」



想像しただけでゾッとした。

私たちがこの世界で見て来た巨人は、本能のまま行動し、食らい、彷徨う……恐ろしいけれど、憐れだとすら……思う。

それが元人間で……処刑として巨人化させられているとしたら尚更だ。

――――だけどその車力の巨人の話を聞くと……、あくまで戦争の兵器として使われているんだと痛感する。

――――それを、本人は……どんな、気持ちで……人を乗せて……人を殺すために……そこにいるのだろう。



「――――ナナ?どうした?」

「あっ……、すみません……。」

「――――なにかあんだろ。」



私が慌てて頭を下げたことに、リヴァイ兵士長は腕を組んだまま吐け、と促す。

こんな時にこんなことを言うのは違うかもしれないし……私はみんなが見たウォール・マリア最終奪還計画の時の地獄のような惨状も知らないから……能天気で甘っちょろいと、思われるかもしれない。



――――でも、心のままに言葉にしてみようと、思った。


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