第198章 不和
「――――イェレナさん、何を焦ってます?」
「―――――………は……?」
私の言葉に、イェレナさんはもちろん、ハンジさんもリヴァイ兵士長も目を見開いた。
「――――私たちが一刻も早くジークを心から信頼して頼らないと……まずいなにかが、あるんですか?」
「――――……なにを、馬鹿な。」
――――そう言ってイェレナさんは一瞬、目を逸らした。
――――肯定だと、思った。
尚更信じきるわけにいかない。
信じて協力する体裁をとりつつも……あらゆる方向に警戒しないと、この人たちは………きっと私達には想像もしえないような何かを考えている。
じっと観察するように、その仕草一つも見逃さないようにじっとイェレナさんを見つめる。
やがてその目は逸らされ、はぁあ、とため息をついた。
「――――興ざめですね。今日はここまでにしましょう。あぁそうだ、調査兵団の面々を無事レベリオから回収する秘策も、ぜひ考えておいてくださいね。――――死にたくなければ。」
そう言ってイェレナさんは背を向けて会議室を出た。
「おっ、おい……!イェレナ……!」
オニャンコポンさんが慌てて私たちに頭を下げて、イェレナさんを追う。
扉が開いたその一瞬、イェレナさんを拘留場所まで送り届ける役目を担ったフロックさんと――――……目が合った。
――――彼もまた……私を何の目的で脅してここに来させたのか……わからない。イェレナさんの護衛についていることも多い。
――――まさか、「見届けろ」というのは建前で……本当は義勇兵側についていて、私を使ってリヴァイ兵士長の力を削ごうだとか……そんなことを考えていないと、いいのだけど……。