第197章 回帰
「――――やる。土産だ。」
「お土産……?」
そんな、どうやって……随分前のことなのに……花がなぜまだ、生きているのだろう……、そう思いながらじぃっとその花を見つめると、よく見れば生花ではないことがわかった。
「――――えっ……。綺麗……!これ、生花じゃないんですね……?!人工物……?」
「ああ、造花と言うらしい。」
「すごい……!すごいです、だってほら見てリヴァイさん、こんなに葉っぱの葉脈や……花芯まで繊細に作られて……!葉の裏まで……!」
私は興奮のあまり、思わずリヴァイさんの方に身体を寄せて……手に持った造花を見せて興奮した状態でリヴァイさんの目を見つめて力説した。
「――――簡単だな、お前は……いつも。」
「―――――え。」
リヴァイさんが僅かに口角を上げて意味深に呟いた瞬間、腰を強く抱き寄せられて唇が、食らうように塞がれた。
「―――――っ、ん……!」
あぁこれは、侵略するためのキスだ。
――――私の答えを待つ気はない。
リヴァイさんにとって私はまだ……例え母になって、変わってしまったとしても……リヴァイさんのものであることは、当たり前なんだ。
――――凛とした母でありたい、異性になど揺らがず、娘が誇れるような母でありたいという思いとは裏腹に……、私は間違いなく悦んでいた。
――――心から愛するこの人が、まだ私を想って……、欲して……、愛してくれることに。
息が弾んで唇の端からとろりと唾液が濡れ落ちる頃には……リヴァイさんの身体が私の上にのしかかっていて……、リヴァイさんはその色気に満ちた瞳で私を見下ろしている。
「――――は……ぁ、……っ……。」
「――――抵抗するなよ。無駄だからな。――――お前は俺に逆らえない。」
悔しい、けれどその通りで……、それを理解している私の表情を見て満足げに目を細めて、また……私の唇をこじ開けて、自らの唾液を口移す。
――――まるで投薬だ。
思考が停止して、あなたしか見えなくなる。
私の手には造花が握られたまま……
この花のように、私のあなたへの想いは――――……
永遠に、色褪せも枯れもしない。