第197章 回帰
―――――――――――――――――――
フロックさんからの連絡で、指示があった。
“自分の意志で”調査兵団に帰ると団長に連絡しろ、と。
―――確かに、私が唐突に帰って来たら……ハンジさんもリヴァイさんも絶対に気付く。何かあったんだろうと……。だから自分の意志で、役に立ちたいから……あなた達のところへ帰りますと連絡をさせる。
でも……その前に私はちゃんと娘と、家族に話さなければならない。
「―――なんて、言ったら……いいの……?」
娘は泣くだろう。
――――それでなくても父親が側にいない環境で……、両親に甘えることもできずに育って来た。その上更に母である私が側にいられない……本当に大丈夫なのだろうか。
私にはロイがいてくれたから……1人じゃなかった。
でもあの子は……。
ぐるぐると色んな事を考えながら、私は部屋を整理していた。
――――娘と2人で暮らしていた王都の部屋は引き払い、娘は実家に住まわせることにする。
母やロイ、ハルも了承してくれて……私が娘を守るために調査兵団に戻ることを、苦渋の顔で理解してくれた。ふと目につくのは……大事に戸棚にしまっていた、古びた本と……それに挟まれた真っ白な封筒に入れられたラブレター。
「――――これだけは、いつも側に……持っていよう。」
そのラブレターを挟んだ本も一緒に、大事に調査兵団に戻る荷物へと片付ける。
もう一冊の……眠り姫の絵本には、想い出の四葉のクローバーを押し花にして作ったしおりを挟んで……実家に持ち帰って……いつか娘に託したいものを集めた荷物の中に、そっとしまった。